知られざるレバノンのクリスマス第二弾~どうやって祝うの?
Beit Lebanonクリスマス特集、第2弾はレバノンならではのクリスマスの習慣についてまとめてみました。中東はキリスト教発祥の地でもあり、特にレバント地方に住むクリスチャンは、自分達こそ元祖キリスト教徒という自負もあります。
では早速、彼らのクリスマスの祝い方を見てみましょう。
まず、レバノンでは12月4日に聖バルバラの日という祭日があります。子供たちが仮装して家々を回りお菓子をもらう、というハローウィンに似たお祭りですが、こちらはハローウィンより古くからある習慣です。
この日が終わるとクリスマスツリーを飾ったり、水に浸した脱脂綿に豆を撒いて育て始めるうちが多いそうです。クリスマスまでに育った緑は、ツリーの下に置いて飾ります。
また、断食というとムスリムのラマダンを思い浮かべる人も多いと思いますが、中東ではクリスチャンもします。信心深い人達は、クリスマスの7週間前から動物由来の食物を一切食べない断食を行います。
レバノンでは、ツリーの下に洞窟の模型やミニチュアでキリスト誕生の様子を再現することもよく行われ、イエスの両親や羊飼い、東方の三賢者などのミニチュアを飾ります。
このおうちは、ツリーよりも洞窟が大迫力?!
でもイブまで飼い葉おけの中は空っぽで、クリスマス当日になって初めて、赤子イエスのミニチュアを追加するのが習慣です。
では、クリスマスのプレゼントやご馳走を見てみましょう。こちらではクリスマスは日本のお正月のような感覚で、友達やカップルが一緒に過ごすイベントというよりは、家族が集まる行事です。
職場や親戚が多い家庭では、全員がお互いにプレゼントを贈ると大変なことになるので、そういう時は「シークレット・サンタ」方式が取られます。これは家庭や職場で、各自一人、プレゼントを贈る相手が割り当てられるというものです。贈られる人は誰にプレゼントを貰うのか当日まで分かりません。家庭ではツリーの下にどんどんプレゼントを置いていきます。
まだ12月も前半はこんな感じ?
家族が多いと、クリスマス前にはこんな大変なことになるうちも!
さて、クリスマスのご馳走を見てみましょう。代表的なものには、ゴマペーストやオレンジを絞ったソースに肉団子を入れたケッベ・アルナビーエ(Kebbe Arnabiyye)、栗やピスタチオナッツをチキンや七面鳥に詰めた丸焼きなどがあります。
レバノンらしく、クリスマスのお菓子もアラブとフランスのもの、両方とも人気。「メグレ(Meghle)」というお米のプリンにナッツなどをトッピングしたアラブのスイーツは、レバノンでは赤ちゃんが生まれた時、お祝いに来るお客さんに出すものですが、クリスマスにも出します。なぜなら…そう、クリスマスはイエスの誕生を祝うものだからです。
フランス菓子の定番は「ビュッシェ・ド・ノエル (Bûche de Noël)」。あの丸太の形をしたクリスマスケーキです。フランスの旧植民地であるレバノンやシリアなどでもクリスマスの定番スイーツとなっています。
また、12月中に訪れるお客さんには、リカーと一緒に色とりどりのアーモンドの砂糖衣がけ(Mulabbas Louz)もよく出されます。アラビア語の名前もそのまま、砂糖を「着た」アーモンド、という意味です。
ところで、レバノンでクリスマスと言えばいつでしょうか?
実はレバノンのクリスマスは2回あります。日本でよく知られている12月25日(カトリック教徒など)と1月6日(アルメニア系や正教徒など)の2回で、両方とも公的祝日です。1月6日を過ぎると、すべての人達にとってクリスマス休暇/冬休みもいよいよおしまい、となります。
さて、レバノン人のクリスマスの過ごし方、楽しんで頂けましたでしょうか。
(取材協力・写真提供:Hala, Sabine, Tony、文:Beit Lebanon 法貴潤子)
0コメント