ラマダン・カリーム!なお菓子たち
世界中で、そしてもちろんレバノンでも、先週から断食月(ラマダン)が始まりました。ベイト・レバノン、キッチン企画の初回を飾るのはラマダンのお菓子たち。
断食月とはいえ、日没後から夜明けまでは食べてもよいので、ムスリムの家庭では1年で最も豪華なご馳走が用意される月でもあります。
そしてなんと言ってもラマダンに欠かせないのは、アラブ菓子。レバノンでは家族みんなが大人数で集まることや、甘い物大好きな人が多いこともあり、アラブ菓子は基本的にキロ買いかダース買いです。
今回はラマダン中の大忙しなアラブ菓子専門店に、中をのぞかせてもらいました。では、早速お邪魔します!
まず手前に見える半月型のお菓子は、定番の「アターエフ(Qatayef)」。ちょっとモチモチしたどら焼き風の生地に、クリームやナッツを詰めたお菓子です。これは1年中いつでも食べられるポピュラーなお菓子。
その奥、こんがり揚げられてピスタチオナッツが載っているのは「ズヌード・アッスィット(Znoud el-sit)」。アラビア語で「ご婦人の腕」という意味のお菓子で、中にはクリームが入っています。これは特にラマダン中、イフタール(断食を破る夕食)の後に食べられることが多いのですが、地域によっては1年中食べられるところもあります。
↑ こちらのアターエフの中身はクルミ。これにたっぷりシロップをかけて食べるのがアラブ風。お店のお兄さんたちも注文をさばくのに忙しそうです。
ラマダン中は、従業員だけでなくオーナー一家も一緒にせっせとアターエフ作り。アターエフは皮だけ、あるいは皮と中身を別々に買って、うちで自分で中身を詰める人もいます。そちらの方が安上がりなんだそうです。
こちらは「マドルーア(Madlouqa)」。セモリナ粉で作られたプリンのような生地をタッパーに流し込み、上にクリームをのせて、ナッツを散らしたお菓子です。こういうお菓子はキロ売りです。1キロ?2キロ?と聞かれますが、私はいつも「半キロ・・・」と答えています。
ちなみに英語で検索すると、このお菓子はまたの名を「Layali Lubnan/Lebanese Nights」、つまり「レバノンの夜」という、と出て来ます。が!複数のレバノン人に聞いてみると、そんな名前は外国人が勝手につけたに違いない、邪道!と怒られました。レバノンではこのお菓子は、素直に「マドルーア」と呼ぶのがよさそうです。
それから、マドルーアの隣に見える茶色と白のお菓子は、「オスマリーエ(Osmalieh)」。ヌードル状の細い生地をパリパリに焼いてクリームを挟んだお菓子です。
*レバノン方言の話し言葉では「Q」の音はしばしば「ア」に置き換えられるので、お菓子の名前もそれを反映しています。
さて、こちらは「オスマリーエ」のアレンジ版なのか、クリームの代わりにチーズが挟まれています。その下はローストされた大量のカシューナッツ。こんな大量のナッツは久しぶりに見ました。
まだまだ経済危機が続き、物価が高騰しているレバノンでは、ナッツやお菓子は贅沢品になりつつあります。悲しいことに、今年のラマダンはお菓子どころか、まともな食事が食べられない家庭も多そうです。
空腹の人に思いを馳せる月であるラマダン。施しの月でもあるラマダン。今、お菓子を買える私たちは本当にラッキーです。
ラマダン・カリーム(恵み多いラマダンを)!
0コメント